ティラノスクリプト製のゲームは重い？
Googleで「ティラノスクリプト」と検索すると、検索候補に「ティラノスクリプト 重い」が表示されるくらいには、ゲーム制作者もプレイヤーも頭を悩ませているこの問題。
でもちょっと待って！
実は、ゲームそのものが重いわけではないんです！
重いのではなく起動に時間がかかるだけ
何？ 言い方を変えただけ？ 詭弁？
ではまず、v500より前バージョンのティラノスクリプトについてお話しましょう。
v4XX時代のティラノスクリプトは、PCアプリケーション化する際に「NW.js」という仕組み（フレームワーク）を使っていました。
NW.jsとは、ティラノスクリプト・ティラノビルダー製のゲームをPC上でプレイできるようにするためのブラウザのようなものです。
NW.jsという仕組みは、ゲームをアプリ化する際に、「ゲーム本体のファイル」（立ち絵とか背景とかボイスとか）を圧縮しているという特徴があります。
そのため、実際にゲームを起動するときには、圧縮されたゲームファイルをすべて展開する必要がありました。
ゲームファイルというのは、重いです。フルボイスのゲームとなると、ボイスだけで数MBを超えることもざらです。
そんな巨大な圧縮ファイルを展開するのですから、当然時間がかかります。あんまりにも貧弱なPCでゲームを起動しようとすると、圧縮ファイルの展開ができずにゲームがプレイできない、なんてこともあります。
そんなわけで、
圧縮されたゲームファイルの展開に時間がかかる
↓
ゲームウィンドウが表示されるのに時間がかかる
↓
ティラノ製のゲームは重いと感じる
という理由で、「ティラノ製ゲームは重い」というイメージが出来上がっていったんですね。
ティラノスタジオなら、起動も速い！
しかし、起動にやたら時間がかかっていたのも既に過去の話です。
言いましたよね？ これはv500より前の時代の話だと。
v500以降のバージョン（というか、ティラノスタジオでアプリ化したゲーム）では、この問題は解決されています。
まず、ゲームをPCアプリケーション化する仕組みがNW.jsからElectronに変わりました。
Electronでは、ゲームファイルを圧縮することはしていません。代わりに「難読化」という、ゲームファイルの中身を第三者が盗み見しにくくする処理がされています。
これにより、ティラノスクリプトv500、というかティラノスタジオでアプリケーション化したゲームは起動がめちゃくちゃ早くなっているのです。
ブラウザゲームの場合
さて、賢明な方なら、これまでの説明に納得できていない部分もあるでしょう。
「PCアプリケーションの起動が早くなったのはわかった。じゃあブラウザゲームはどうなるの？」
ブラウザゲームの場合、これは完全に、ゲームをプレイするPCなりスマホなりのスペックとネットワーク回線の強さに依存します。
特にネットが速いことは重要です。最重要と言ってもいいです。
有線ならおそらく問題ありません。無線となると、ちょっと問題がありそうです。
考えてみてください。
シナリオファイル、立ち絵、背景、BGM、効果音、ボイス…ひとつのゲームには様々な素材となるファイルがあります。
ブラウザゲームでは、これらすべてをダウンロードしているわけです。
ひとつのゲームをプレイするのに、どれだけのギガが消費されるのか、計算してみたことはありますか？ 私はありません めんどくさいからな
まあおそらく、全体のファイル容量はちょっとした動画ファイルくらいはあるはずです。
「でも私のスマホ、Youtubeはサクサク見れるんだけど！」
そんなことを言えるのは、低速回線でも動画がストレスなく観れるようYoutubeがしてきた血のにじむような努力を知らない人間だけです。
Youtube、Amazon Prime、Netflixその他諸々の動画サービスは、多少貧弱な回線でもスムーズに動画を観られるよう、凡人には考えも及ばない様々な工夫がされているのです。
そんなことができるのは、巨大な資本ととんでもなく優秀な人材がいる大企業だけです。少なくとも個人ができることではありません。できたらとっくにGoogleに就職してます。
というわけで、ブラウザゲームというのはネットワーク回線の強弱の影響がモロに出るジャンルなのです。
あとはPCとかスマホのスペックも問題にはなりますが、2Dのアプリゲームがサクサク動くくらいのスペックがあれば問題はないんじゃないかな…
とはいえ、画像をはじめとしたゲーム素材を極力軽くするよう製作者側が気をつければ、ブラウザでもそれなりに快適にプレイできるゲームは作れると思います。
そのへんは製作者側にも知識が求められるところですね。
それはまた別記事ででもまとめたいと思います。
